悲しみと憎しみと・・

何かを失ったときに感じる深い悲しみ。これは、喪失感という大きな負のエネルギー。
そして、何かに対する怒り、憎しみ。これも、大きな負のエネルギーになります。

これらは、その大きなエネルギーで、はじめのうちは杖のように、その人のたどたどしい足取りを助けてくれることもあるでしょう。悲しみにくれる日々、憎しみに燃える日々、どちらをとっても、「生きる」方向に働く大きな力になるのかな、と。そして、どんなエネルギーであれ、それによって助けられた歩んできた道のりには価値があると、私は思います。

まったくエネルギーを失ってしまった状態、それがどんなに無残なものか・・・毎年3万人以上の死者を数えるのは、このような状態なのでしょう・・

そして時が過ぎて、杖に頼りながら、確かな道のりを歩いてきた人は、いつしか自らの足で歩けるようになります。そのとき、この杖はただのお荷物になってしまうはず。勇気を出して捨ててしまいましょうよ。力を貸してくれたことにお礼を言い、支えられて歩んできた道程、生きてきた日々を思い出に変えて。
そのころには、そこから新しい景色がひらけることに、もう気づいているはずですから。
深い悲しみ、大きな憎しみ、これは氷が溶けるようにゆっくりと瓦解してゆきます。そして時の流れに流されて消えていくのでしょう・・