今までの調査結果。

●記憶障害
前頭前野連合部の損傷によって起こる。起こったことを一時的に蓄えておく記憶(ワーキングメモリ)が阻害されることによって、事実を短期記憶に変え、さらに手続き記憶、陳述的記憶に変えて海馬に連続性を持った記憶として記録することが阻害される。
前頭前野連合部がどのようにワーキングメモリに関わっているかは明らかになっていない。ただ、ワーキングメモリを活性化するときに前頭前野連合部の血流が増加することが画像診断(PET、fMRI)によって確認されている。

●注意障害、遂行機能障害
注意、遂行機能は、複雑な手続きを実行すること、人間らしい情動、行動を表現することである。この機能が阻害されると、上記のような機能が損なわれる。そのメカニズムは明らかではないが、やはりこの機能を使うときに前頭前野連合部の働きが活発になる。この論理は明らかではない。画像診断で確認されているだけである。
したがって、注意障害、遂行機能障害前頭前野連合部の損傷によって起こると考えられる。

●半間空間無視(左側)
左側半間空間無視は、ビューの左側を失認するために、神経損傷がなくても左側が見えなくなる、また、左側にあるものを無視する状態である。
これは、頭頂部に損傷を受けた患者に多く見られる。しかしそのメカニズムは不明。


まだまだわからないことが多いですね。
特に、高次脳機能障害の多くの症状に関連する前頭前野連合部とワーキングメモリの関係性は解明が必要。今時点でこれに触れた論文などはない。
左側半間空間無視は脳の別の部位の損傷で起こると考えられるが、頭頂部の損傷が前頭前野の損傷と併発することが多いため、高次脳機能障害のカテゴリに入れられているが、性質は違うものである。これも今時点で解明の手がかりとなる文献はない。経験則だけである。


多くの文献を読みましたが、結局は同じところで止まってしまいます。
今後の脳科学の発展を待ちたいところです。


私のノートの一部を以下に示します。ご指摘いただければ幸いです。
http://www.geocities.jp/youhei_i/koujikinou.jpeg