高次脳機能障害と周囲の理解

さて、標題の件は、高次脳機能障害の家族を持った人たちが悩み、苦しむところ。私のもとにもいままでにたくさんの質問、相談が来ています・・・
で、挙げてみましょう。


その1.態度が変
これが一番多いですね。脳内の神経伝達物質とかなんとか言う以前に、脳はたった1.5キロのスーパーコンピューター。打撃を受けたり卒中を起こしたらそりゃあ回路も狂いますよ、当たり前。

その2.幼稚になる
これも多いですね。基本的に1に同じなのですが、脳のドーパミン、ノルエピネフリンを調整することで改善の見込みあり!神経内科に急げ!

その3.言っている事とやってることが違う
これも結構あります。1に同じですね。


で、この辺までは高次脳機能障害がなにと言う以前に、脳のシナプス、軸索、脳細胞がばらばらになるから仕方がないです。Pentium Dだって叩けば壊れるでしょ、熱で焼けたら動かないでしょ、と言うレベルですね。
ただ、人間の脳は以前は回復しないといわれていましたが、かなり広範囲な可塑性を持っていて、時間の経過とリハビリで新しいニューロンネットワークを作って機能を回復させるんですね。自己修復するスーパーコンピュータ、すごいですね、人体って。


その4.突拍子もないことをする
これも結構おおいのですが、これは脳内のトランスポーターの調整で納まることが多いです。ADD状態になっているので、ドーパミンを抑える処方でうまくいくようです。(私は薬剤師じゃありませんが。。)

その5.忘れっぽい
これはほぼすべての人に起こるようです。と言うのは、大脳の広範囲を占める前頭前野連合部がすべて記憶のプロセスに関与しているからです。最近の研究では、小脳を損傷したときにも記憶障害が出るようですが、高次脳機能障害とは別なのでまたこんど。これは治りにくいみたい。

その6.感情表現が変
これも、脳内のトランスポーターの異常ですね。セロトニンやノルエピネフリンを調整してあげるといいみたい。


その他にもいろいろありますが、間違いなくいえることは事故や脳障害の前の当事者と、そのあとの当事者は「脳の状態が同じであるわけがない」事を前提に考える必要があります。高次脳機能障害は腕が動かなくなるわけでもなく、歩けなくなるわけでもありません。
だからこそ、誤解が生じやすい。外見はまったく変わらないから。
まだまだ、理解が進んでいませんね、日本では。私も緊急入院した病院では「後遺症はありません」といわれたくらいですからね。かつて私の妻だった人も、私の態度の変化を真に受けてしまったようですね。脳卒中くも膜下出血脳挫傷など命を落として当たり前の状態から復帰した脳が、すぐに「まともに動くはずはない」と、理解しましょう、精密機械なんですから、脳は。