注意・遂行機能障害と記憶障害

いぜん、これらは脳の前頭前野連合部に属している機能だということを書きました。しかし、そのなかの、どの部分が機能障害にかかわっているかと言う細分化したものはありません。現在の脳科学の最先端の知識では、前頭前野連合部に「遍在」していて、ピンポイントでここだ!と言い切ることはできないみたいです。と言うのは、fMRIで脳を観察すると、記憶、遂行機能、注意機能、どれを取ってみても前頭前野連合部全体が活性化されているからです。

たとえば手を動かす、口を動かす、などといった機能は脳の第〜〜野に局在しているといえるまでの研究成果が出ているのですが、高次機能に関しては全体が協調して思考を進めるみたいなんですね。もし、この研究成果が正しければ、個別のリハビリは意味を成さないことになります。
とにかく失った機能を無理してでも使って、脳全体を活性化させる訓練が必要でしょう。どんな訓練が前頭前野を活性化させるかと言うことはまだ未解明です。ただ、「つらい」「むずかしい」と思える作業は確実にその部分を使っていますから、辛さを乗り越えて努力するしかないのでしょうね。ふう、疲れる。そうすることによって迂回していた神経ネットワークが慣れてきて、疲れがだんだん低下してくるものだと思っています。