失ったものと新たに得たもの

あの事故で、私はいろいろなものを失った。
そして私の学歴や勤務先など、表面を観ていた人は、足並みをそろえて消えていった。

しかし、数は少ないけれど得たものはとても大きい。
あのあと新たに得た数少ない友人は、絶対に本物だと思っている。
それは、運では得られなかった、そんな得難いもの。寂しさや苦しさの中、必死にあがいて生きてきて、気づいたら私の周りにはにせ物はなくなっていた。
そんなことを、私は思っている。有り難い、という言葉の意味をかみしめている。

心の弱さを助けてくれる人がいる、心を救われる出来事がある、こういったものを事故前の私は感じられなかっただろうと思う。こわれた心をみて捨てた人、そしてその心を治してくれようとする人、できごと。すべてに対して一期一会の気持ちで臨もうと思えるようになった今の私。

人生というのは、不思議なものです。もう、いつ命が絶えても心残りはありません。
私が必要としていたものはすべて得られた、そんな気持ちです。