電気自動車のこと。

「全くの素人でもわかる電気自動車」と題しまして。
ふとしたことから電気自動車のことをいろいろ書いて見ます。発端は自動車業界の大ショックから。


たしか20年くらい前から、「石油は20年後には枯渇する」と言われていた気がするが未だに枯渇していない。産油国がつぶれるのはまだ先だろう。

とはいえ、今時代は電気自動車へ移行しようとしている。
ガソリンエンジンはいくら効率化したところで、大部分が熱として逃げてしまうため、無駄の多いエンジンだ。さらに言えば今後発展国でどんどん車が増えれば、今でさえひどい大気汚染がもっとひどいことになる。低燃費、環境性能、ハイブリッド、いろいろ言われているが、発電所で発電した電気が一番低コストで環境に優しい。電力が原子力だったら、もはやエミッションはゼロに等しい。


ということで、電気自動車。
気になる航続距離だが、安心できる容量となると50kWhくらいは必要だろう。これで乗用車なら大体300〜500キロは走れる。実際にそれくらいの容量のバッテリーは作れるし、存在する。ただし、重量は500キロくらいあるのが難点。それでも燃費としてはガソリンの1/10位なので平気かな。ただ、スポーツカーとなると厳しいだろうね、と思うかもしれないが・・・


しかし、すでにポルシェより加速が速くて、最高速が370km/hというのが存在する。しかも300キロの距離を走れるのだ。重いと厳しくなってくるハンドリングなども、インホイールモーターをインバーターで駆動するから、駆動輪ごとに微妙なトルクの調整、ブレーキの調整ができるから機敏に動けるかもしれない。(現在一番効率的なモーター駆動は、一つのホイールごとにモーターを内蔵して駆動する形式で、これをVVVFというインバーターで交流動作させるかたち)


ただ、バッテリーの重量削減と小型化は必要だね。今だとトランクがバッテリーで埋まるだろうからね。あと軽い車は操るのが楽しいのと、事故の回避性能なども軽い方が断然有利なのだ。
これを解決するにはスーパーキャパシタを使うというのがあるけれど、これは後で書く理由で難しい。


さて、また別の懸案点。
出先で充電するにはどうしたらいいか?ということだ。
会社の営業車や、公用車みたいに走る距離がたかがしれていれば問題ない。夜中に充電して、日中使えばいいからだ。止める場所も決まってるし、そこにコンセントをつけておけば問題ない。
ただし、一般用途、しかも海外まで含めるとどうしても「適当な間隔で充電できる」ことが必須となる。今のガソリンスタンドみたいにね。


じゃあ、ガソリンスタンドに、コンセントがあればいいか?
No,No,No!ノォー!!!!!!
スタンドに寄ると「1時間お待ちください」っていわれるとしたらどうだろう。普及しないだろう。我慢できるのはせいぜい5分でしょうね・・・


しかしそれでも、このスタンドはものすごくがんばって充電していることになるのです。1時間と言えば、50kWh のバッテリーだったら「150A」で充電することになるのだ。(電気自動車は大体300Vで考える)バッテリーの性質上、それ以上早くは充電できない。

一般家庭の電力容量は、大抵50Aかそれ以下ですね。ちなみにAdagioの家はひとり暮らしなので控えめの40Aです。電気製品で電気を食うと言われる電子レンジは1000Wくらい。一般家庭は100Vだから、厳密な計算は抜きにして電子レンジは10A。
電気自動車を夜、家庭用電源で10時間かけて充電すると、50A流しっぱなしかな。


ここで、前述のスーパーキャパシタを持ってこよう。キャパシタというのはいわゆるコンデンサ
これなら、大抵5分で充電できるのだ。すごい!!


なんてね、喜んじゃいけませんよ。そんなにね、うまい話はないのよ。


スーパーキャパシタに50kWhを5分で充電する。これがどんなことか・・・
単純計算で「1800A」の電流で充電しなければならないの。これ、軽く「雷」みたいなものです。充電スタンドが今みたいに街中に何件もあるとしましょう・・・たとえば仮にある市街に3000くらいの充電スタンドがあって、それぞれは平均2台くらいは充電しているとする。そうすると10800000Aが常に必要となる。この市街の電気は麻痺しますね。超特大の雷でもまかなえない。


「じゃあ、街の電力とは別に充電スタンド用として専用の送電線を使って送電すればいいじゃない?」
やっぱりね、そう思うでしょう・・・
さて、先に書いた10800000A、電気自動車のバッテリーはだいたい300ボルト位だからといってまさかそのまんま発電所から市街まで300Vで送電したりしたらほとんどが電気抵抗で消えてしまうだろう。そもそも消える前に電線が全部焼け落ちますね。直径10メートルくらいあるものすごい電線を引けば送れないこともないけれど、渦電流損失がすごいことになるだろう。(渦電流損失はちょっと専門的なので割愛)


「じゃあ、昇圧して送れば損失は抑えられるじゃない?」
パッと気づいたあなたは理系。決定。
電圧を10倍にすると電流は1/10。従って損失は1/100になります。では、1000Aで送電することを考えましょう。そうすると・・・・324000Vですね。まぁ何とかなるでしょう。
そのかわり、日本中至る所に山の中にあるような高圧鉄塔が必要となります。


電気自動車の実現のまえには、ハードルがたくさんありますね。
私が考える当面の策としては、
・ひとつめ。充電スタンドは常に電力を地下の超大容量スーパーキャパシタに充電し続け、それを自動車のスーパーキャパシタに供給する。
・ふたつめ。バッテリーをすべて共通にして、スタンドで充電済みのバッテリーと交換する
といったところでしょうか。いずれにしろ、インフラ整備が必要ですね。今後に期待です。