リスボン宣言を改めて読み直す。

先ほど、整形外科の主治医と微妙にやりあった。健康なときの私であったら、きっと手が出たのではないか・・・と思う。
要点はこういったものだ。
私は、後遺症として病的な不安、抑うつなどが存在する。そして、今日その不安が現れそうになったので、それを抑えるために頓服薬を出してもらえないか、と看護婦さんにお願いした。私が転院先としてこの病院を選択したのも、ここに心療内科があるからである。いくらかの薬はそろうであろう。
そして、しばらくすると、その看護婦さんはいきり立った整形外科の主治医を連れてきた。そして開口一番、「あんたはリハビリをしにきたんでしょ、精神病院じゃないんだから、そんな要求にいちいちこたえてられないんだよ、こっちは」
唖然とした。さらに、
「そういった精神的なことは精神科で相談して。僕は整形外科であって、精神科は専門じゃないんだからさ。」
さらに唖然。この男に医師としての行動を求めることは出来ないと感じた私は「もう結構です。いいですからそっとして置いてください。」と控えめに言う。
そして最後にカウンター。
「もう大丈夫なの?変なこととか危ないこととかしない?」
・・・・・・

私は、その男が帰った後、一人でリスボン宣言を読み返していた。たぶん、どの教科書にもはじめのほうに載っているだろう。
こんな基本的なこと、簡単なことさえ出来ないような人間が、医師になどなる必要はない。医師法に定める健康指導義務にも反するだろう。

この病院の考える医療に、激しい不信感と危機感を覚えた、数分間のやり取りだった。私は、純粋に失望した。そして言葉を失った。

「医師」。その資格は、資格を持つにふさわしい人間に与えるべきである。そしてその資格を与えられた人間はもっとプライドを持つべきである。
この顛末の後、何人かの看護士の方が様子を伺いに来てくれた。それが、せめてもの救いだった。