審判 その5


「○○さん」ふいに後ろから私を呼ぶ声。さっきの彼女だ。小走りで追いついてきたのか、息を弾ませ、髪が乱れている。彼女は私の顔を見上げて、不安を顔一杯に表している。「ああ、江原さん、久しぶりだね。その後は順調?」と私は訊く。「あの、まってたんです、ここにくるのが好きだって知ってたから、あの・・」彼女は続けた。「お話が出来る機会を探してたの、あの・・」私は、やんわりその言葉をさえぎった。「もう、幕は下りたんだよ、カーテンコールなら要らないさ。いまから、一番いいと思うことをすればいいんだよ。時間は大切だよ。」続ける。彼女はため息をつきながら、近くのベンチに体を沈めた。自然と私は、そのベンチの脇に寄りかかった。「もったいなかったよね・・、本当に。」私は穏やかに、誰に話しかけるでもないように話した。「うん・・・」彼女は、私の方を向かず、氷川丸のほうに目をやりながらつぶやいた・・・

(・・適当につづく・・・)