雑文書き散らし

 夢七夜

第四夜 原点の萌芽。 「ん、ここはどこだろう」 「そこにいるのは、誰?」「わかんない、でもおまえとおんなじだよ・・?」 「おんなじだね、何でだろうね?」 零点振動から生まれたかどうかわからないが、ともかく僕たちは、無いところからでてきた。ふたり…

 夢七夜

第五夜 人の涙など、何とも思っていなかった。ただ、やりたいことをしていれば幸せだった。 飲み代ほしさに、泣き叫び抵抗する小さな子供の指を切り落として、送りつけたこともあった。ギャンブルの金のために、頼りない足で追いすがる老人を殴り飛ばしたこ…

 夢七夜

第六夜 こんな夢を見た。 長くて濡れているように輝く漆黒の髪を皆がうらやましがった。 おばあちゃんが毎日綺麗に櫛を入れてくれた。12の誕生日に、とても美しい飾り櫛を買ってきて、私の髪に挿してくれた。それが最後の贈り物だった。 それ以来、祖母の部…

夢七夜(久しぶりなのでイマイチ。)

第七夜 こんな夢を見た。 天井の近くの空中を浮遊していた。畳を見下ろすと今まで鏡の中で見慣れた女が静かに横たわっていた。 たいそうよく眠っているのだな、そう思って自分も眠ろうとしたのだが、帳がおりてこない。 仕方がないから目を開けて、女をよく…

 心筋梗塞?

明け方に突然ひっぱたかれて目を覚ました。寝汗をぐっしょりかいていた。 目を開けると、朋子がペンライトをかざして私の目に見入る。 彼女のこんな真剣な表情は見たことがなかった。「ど、どうしたの・・」 「うごかないで、ライトに光を目で追って。」 機…

 愛の言霊 その3

あなたは、少し体を反らしてふるえたあと、私の両肩を引き寄せてささやいた。 「大好き・・・」 あなたから、その類の言葉を聞いたのはそのときが初めてだった。お互い深入りしない、という暗黙のコンセンサスがあった。 私が両手に力を入れて背中を引き寄せ…

愛の言霊 その2

「あの・・彼女って・・いますよね?・・」さっきまで伏し目がちで、あまり話題に加わらなかった君、私より8歳も年下の君、きっと意を決して言った言葉のはずだ。 私は逡巡した。嘘はつけない、でも傷つけたくない、でも嘘をつけば余計に傷つけることになる…

愛の言霊

「私はあなたのことが大好きです、人間としても、一人の男性としても。」 そう締めくくったあなたの手紙。便箋2枚にきっちりと収まって、文章も普段のあなたとの会話よりもずいぶん大人びた感じでしたね。 でも、あなたは誤解していました。 「一つめの質問…

ドクター いんなみ?なの?

「ようちゃん?・・・」 扉を開けた私を見て麻子は目を丸くした。熱でぼんやりとした頭でしばし逡巡した後、自分の着ている白衣に気づく。 「あ、これマスターの頃の・・・」 麻子は黒いスウェードのブーツを乱暴に脱ぎ捨て、部屋に上がってくると床暖房の効…

深夜のマリンブルー

「・・・・ちゃん?」 「ようちゃん、ねぇ、ようちゃん?」 最近になってやっと聞き慣れてきた声が水の中を伝わるように聞こえてくる。やっとの事で目を開けて、ベッドサイドのランプをつける。 私の上に覆いかぶさるようにして、私の目をのぞき込んでいる麻…

次のテーマは?

さて、また何か書こうかな?と。 タイトルは「歌の翼に」、と。いろいろな曲のタイトルから、ショートストーリーを書こうかな、とか構想してます。まだ全然書いてないけど。 ちょっと難しいかなぁ・・・こんなのを書くのは・・

ネタがないので雑文の断片その9

「じゃあ、今度ヘルメットもうひとつ持ってくるからお台場でも行こうか。レインボーブリッジ渡って。あの辺の夜景は綺麗だよ。」 さてどう返してくるか、私は恭子のほうを横目で見ながらバイクを押し続けた。 「メディアージュ、行きたい・・」 恭子が小さい…

断片 しかもだめだめ8くらい

そう言ってしまうとすっきりした。そんな私を見ながら恭子は微笑んでいた。今まで見ていた恭子の笑顔に、いっそう温かみを感じる笑顔だった。そんな笑顔を見ていると、私の強がりで見栄っ張りな何かが氷が音をたてて瓦解するように解けていくのを感じた。恭…

第7くらい(いい加減)

次の朝、目を覚ますとすでにお昼前だった。私は急いで支度をして高田馬場を目指す。授業にはなんとか遅れずに出ることができた。そしてその日の授業がすっかり終わったころは、すでに空は暗くなっていた。私はジャケットの襟を立てた。冬は嫌いだ。すぐに暗…

こころ

こころには人の温かさが宿っている。 同時に冷たさも、残虐さも、そして真摯な誠実さも。 私のこころにも、いろいろなものが宿っている。残虐さも、冷たさも、暖かい何かも。 そのこころと向かい合うこと。これは勇気のいること。 こころと向かい合えば私が…

断片 だいたい6くらい

私はそう念を押してから、大隈講堂のほうに戻りバイクのエンジンをかけて大久保キャンパスに向かって坂を上ってゆく。急いで実験室に向かう。その日の実験は19時ころまで続き、そのレポートは翌日の10時までだ。実験の日は大抵徹夜でレポートを仕上げるのが…

断片5?

翌日、私は寝不足のままバイクで家を出て行き、電磁気学と回路理論の授業をうける。頭がぼんやりとして、難解な数式が眠気に拍車をかける。 「おい、学食行こうぜ。」 不意に声をかけられ、あわてて周りを見回すと、同じコースの一山が私の横に立っていた。…

断片その4だっけ?

第二章田原の狭いアパートで4人で鍋をつついていた。材料はみんなが適当に買ってきたもので、一種闇なべの様相を呈していた。 「当時のロシア社会を描いていると言う点では二人は共通なんだ、ただドストエフスキーは主人公一人の目を通して、主人公の台詞を…

未完成雑文の断片 3

「え、山手線?私どうしたの?」 まったく記憶にないらしい。 「まぁ、家に帰ってシャワー浴びて頭を冷やしな。ハタチってのは節度を持って行動できる歳、って言う意味なんだぞ。」 「あなた、私を送ってくれたの?」 「あのまま放っておいたら凍死してるよ…

書きかけ(未完成雑文)2

「この子、私をつき合わせてバーとかに出入りしてるんだよ。」 「それは推定無罪」 恭子は饒舌に憲法のことを語ろうとするが、これでは推定有罪だろう、とその場のみんなが思った。 私は冴島のことは良く知っていたが、恭子と会うのは2〜3回目であった。一緒…

第一章の抜粋1(まだ書きかけというかドラフト)

「乾杯!」私とその友人の田原、恭子、その女友達の冴島が声を合わせる。 「恭子も今日で20歳、堂々とお酒を飲めるね。」 冴島が恭子の肩を叩く。 「うん、合法的にね。」 と舌を出す恭子。 田原と私はそのやり取りを見て楽しんでいた。恭子が大学の新歓コン…

ある精神科医の手帳

Yさん 30歳 男性 会社員診断名:不眠症まず、不眠を助長するようなことをしてはいませんか?寝る前に食事を取ったり、お酒をたくさん飲むとそれだけで不眠になりますよ。そうでなければ心因性のものでしょうね。しばらくお薬を飲み続けて、だんだんと減らし…

ある精神科医の手帳

ケース7Sさん 18歳 大学生診断名:無気力症候群あなたは今の大学に入るために、高校1年から受験勉強をしていたと仰ってましたね。そして見事に合格。1年生からの努力が実ったわけです。でも、合格した後に虚無感に駆られている。これはとてもたくさんある例…

ある精神科医の手帳

ケース6Gさん 21歳 女性 無職診断名:社会不安障害あなたははじめクリニックに来る事さえ出来ませんでしたね。なんとかタクシーを使ってこられるようになったのは進展だと思います。そのときは話をすることも儘ならず、紙に手書きで症状を書いたものを私に…

ある精神科医の手帳

ケース5Yさん28歳 無職診断名:境界例まず、お話しておきますが、あなたのような症状が出るのは珍しいことではありません。100人に一人はいるでしょう。なので、あなたが初診のときに言っていた「私はきちがいだ、もう死にたい」、という言葉は撤回し…

ある精神科医の手帳

ケース4Tさん 36歳 主婦診断名:うつ病「何もかも楽しくなく、家事も何もやる気が出ない」と訴えてあなたは私のクリニックにいらっしゃいましたね。さて、楽しくない、というのはなぜでしょう。普段、あなたはどのような人と、どのような会話をしています…

栗毛のいんなみ

駅で荷物を足元において、待っていると白髪の老人が現れて 「君がいんなみ君かね」 と話しかけてきた。私は天にも昇る気持ちで老人を見返して 「ええ、そうです。お待ちしていました」 と答えた。老人は困った顔をしながら、私を待たせておいた馬車に招いて…

去年の恋は・・

今頃だったかな、すこし冷たい風にジャケットの襟を立てていたのは。横を歩いていた君はもっと厚着をして来れば良かったのに、と言って笑っていたかな。そして冬が来て、春が来て、夏が過ぎて秋がやってきた。今日の私は厚着をしてすこし暑いくらいだったけ…

ある精神科医の手帳

Sさん 27歳 システムエンジニア診断名:高度の不眠症、自律神経失調症 3週間の休養、加療を要すあなたが初めて私のクリニックに来た時、あなたはどうやっても眠れないと涙をこぼしていましたね。心と体、そして自律神経は強く結びついているものなのです…

ある精神科医の手帳

ケース2Tさん 10歳 女性 小学生 現在登校拒否中診断名:抑うつ状態、過敏性腸症候群君は、「低学年のときは学校は楽しかった」と言っていましたね。私がいつからつまらなくなったのかと訊いた時、「4年生になってクラス替えがあってから」と言っていまし…