審判 その6

私は、軽くため息をつきながら、何も言わずもたれていたベンチから立ち上がって、再び日本大通り側に向かって歩き始めた。2〜3分ほどのやり取りであったが、本を読み終わって一息入れて、凪の海のように穏やかだった心にさざなみが立ってくるのを感じた。この波が大きくなってしまうと落ち着いていられなくなる。私は、また財布からレキソタンを2錠取り出して、口の中で噛み砕いた。

そして山下公園をでて前の道路を渡り、山下町の雑然とした街並みを歩く。いつもの店で牛乳と野菜ジュース、パンを買って自宅のマンションに帰った。3LDKの間取りは、私一人で使うには無駄なほどであった・・・・・