白いコーヒーカップ その9

3時間目の途中に私は学校に着いた。教室の扉を開けると、皆の視線を浴びた。恵の顔がぱっと明るくなって、ため息をついていた。
「何しに来たんだ、いまごろ」
歴史の教師がいやみたっぷりにきく。
「え、あ〜あの、先生の授業には出たいなと思いまして」適当な返事をする私。
「すぐ座って準備しなさい、金髪」
「はーい」
5分後、気持ちよく眠っていると頭に丸めた紙が当たって目が覚めた。紙を拾って開いてみると、恵の字で「バカ」と一言書いてあった。
恵の方を見ると、意地の悪そうな笑顔を浮かべている。くそ、恵め。
それからはとくべつ眠くもならなかったので、退屈な授業を聞き流していた。こんなのどうせ試験前にまとめてやれば間に合うのに、と私は思っていた。恵も同じで、普段授業をろくに聞いていないわりに、高得点者に名を連ねていた。私も同様、試験前の詰め込みで高得点を取っていた。もちろん二人とも、通知表は散々だったが・・。
放課後、ぱらぱらと帰ってゆく生徒たち。私はボーっとしながら席に座っていた。同じことをしている恵。ある程度、部屋に残っている人数が減ったところで私は恵のところに行って、いった。「いくん・・だよな、後楽園」
「当たり前じゃん。今日はちゃんとお化粧してきたのに気づかなかったのかよ」