白いコーヒーカップ その12

ミスタードーナツでは、今日の後楽園の話で盛り上がった。コーヒーのお代りを何度しただろうか。
「じゃん」
私は、リニアゲイルの途中でとった写真を見せた。自動的に撮影して、お金を払うともらえるのだ。
「なんか、私、すごいかおしてるじゃん、やめてよそんなの。」と私から写真を奪い取る。今のは元々恵にあげるつもりだったので、もう一枚は私の鞄に隠しておいた。
「まわり、カップルだらけだったね」と恵
「おれらだって、そう見えてるでしょ、周りから見たら」
「そう・・・か、悪い気はしないな。相手がお前じゃなかったらな。」
いやみを言う恵
「ったく、いちいちうるせーな」
「おい、もう8時だぜ、帰らなきゃ」
「私は別にいいけど、何で焦ってるの?」
「おれ、チャリじゃん、結構大変なんだよ」
「じゃ、そろそろ行こうか、途中まで乗せてってよね」
中央大学の前の坂を自転車を押して上ったあと、私は恵を後ろに乗せて池袋の方へ向かう。ここら辺からぐちゃぐちゃした道を通っていくと恵の家だ。あとはすぐに明治通りに出られるのでわかりやすい。恵を家の前で下ろす。
「ありがとね、おつかれさん。楽しかったよ」
「おれもだよ、疲れたけど楽しかったよ」
「じゃあな」
互いに声を掛け合って別れた。恵を下ろすと軽くて楽なのだが、話し相手がいなくなってしまったのもなんとなく寂しく思えた。