白いコーヒーカップ その17

金曜日の夜、お店はがやがやと混みあっていたが、二人分の席は確保できた。私は少々こわばりながらも、店員を呼んで、ディナーのコースを二人分とボージョレ1本、グラス二つを注文した。身の丈にあっていると思ったのだが、いざ来てみると緊張した。そんな私の気持ちを見透かすように恵がにやにやと私をみていた。
「なんだよ、恵、どうかしたの。」
「緊張してるだろ。私なんかでも、デートに呼び出したんだからな。」
「そんなこと・・・」
私がもじもじしてるうちに、焼いたパンにオリーブオイルがたっぷり塗ったのが届く。
「あ、きたきた。たべよ。」と私。
「ワインを待てよ、バカ。」恵がいう。
そんなことを話している間に、グラスが目の前に置かれ、ワインを持ってきてくれた。
テイスティングはいいから、たっぷり注いでね。」と恵が言う。
「かしこまりました。」
「なんだか、めぐ、かっこいいじゃん。」私は、今のやり取りを聞いていて感じた素直な感想を言った。
「ドラマの真似しただけだよ、んな慣れてるわけないじゃん、私だって高校生だぞ。」
「そっかー。でもなんか自然で、手馴れたように見えたぜ。」
「だから慣れてなんかいないって言ってるだろ、バカ。」恵がほっぺたを膨らませて言い返す。