忘れられない夏 その2

「中大行こうか。」私は誘った。
「そうね。乗せてってね。」
私と恵は終業式の後に中央大に行くことにした。もちろん食事が目当てだ。大学生たちはすでに休みに入っているようで、閑散としている。食堂も閑散としていた。私と恵は焼肉定食を取ってきて、大きなテーブルにゆったりと座った。
「しかしめぐ、どんだけ勉強したんだよ、いきなりすごすぎるぞ。」私は素直に言った。「もう、毎日夜中までやってたよ、特に数学。1年の数学からやり直した。すっげー大変だったよ。」
「だろうなぁ、193点はすごいよ、ほんとに。」
「あんたの200点には敵わなかったけどな。」
「でも、数学でも学年2位でしょ、めぐ、理系でもいけるぜ。」
「ううん、それはいいや、数学、やってみたけど楽しくなかったよ・・」恵はつぶやく。「そっか・・」
「ねぇ、このままだと、大学でばらばらになっちゃうね・・」恵がつづける。
「この中大だって、理系と文系、全然校舎違うでしょ・・」
「んー・・・・・」私もそこい思い当たって考え込んだ。
「同じキャンパスにある大学か、近いところを選べばいいんじゃない?」私は言った。
「そっか。全部が離れているわけじゃないよね。」
「うん、早稲田とか、上智なんかどうかな?」
「そこって、キャンパス近いの?」
「うん、上智は同じキャンパスだし、早稲田も歩いていける距離だよ。」
「そっか、あんたは理系だから、どっちかというと早稲田かな?」
「早稲田は文学部も有名だよ。」
恵はしばらく考えていたが言った。
「じゃあ、早稲田受けようかな、上智も。あんたもそうしなよ。」
「おれはもともと、そうしようと思ってたよ。東大も受けるけど。」
「じゃあ、私も東大も受けよう。」
そんなことを話しながら、時間は過ぎていった。
「ねえ、帰りに学校で赤本がめて行こうよ。」私は恵に言った。
「そうしよ。早稲田のやつ、もって行く。でもがめるんじゃなくて、ちゃんと借りていこうよ。」恵が指摘する。
「ちぇ、上智の赤本がめたくせに。」私はそういったが、そうすることに同意した。