素晴らしい空

その日は午後から雷を伴った雨がひどかったが、それが通り過ぎたら私の書斎に低く、暖かいオレンジ色の陽が差し込んだ。
そのすべてのものを肯定するような暖かい色に私は魅了された。手を伸ばしたらそのぬくもりを感じることができるような気がして、わたしは窓から手を差し出した。
窓を開ければそのぬくもりが部屋に溢れるような気がして、窓を開けた。
心を開けば、そのぬくもりに冷め切ってしまった私の心が温められるような気がして、太陽を見据えて、それから眼を閉じた。
深呼吸をした。のどを通る空気が暖かいように思えた。頭の中がじんわりとほてってくるのを感じた。
そういえば、あの日もこんな景色を見たような気がする。たしか、こんな光の色だった。物言わぬ、しかしおおいなる太陽。たぶん、私以外にも温められた人がたくさんいることだろう。