第一章の抜粋1(まだ書きかけというかドラフト)

「乾杯!」私とその友人の田原、恭子、その女友達の冴島が声を合わせる。
「恭子も今日で20歳、堂々とお酒を飲めるね。」
冴島が恭子の肩を叩く。
「うん、合法的にね。」
と舌を出す恭子。
田原と私はそのやり取りを見て楽しんでいた。恭子が大学の新歓コンパでべろべろに酔っぱらってみんなで担いでタクシーに乗せたことを思い出した。
「ハタチになったんだから、もう無茶はするなよ。」
「はいはい。もうあんなみっともないことはしませんよ。」
といいつつ、テキーラサンライズをごくごくと飲む。どうも最近お酒に強くなってきたようで、これしきのカクテルでは酔わないようだ。大きな声で店員を呼んで
「ねぇ、これお酒ずいぶん薄めてない?」
などと悪態をついているのは恭子らしかった。そんなことを言うくらいだからもうずいぶん酔ってるな、と思ったが何も言わないことにした。
「すいませーん、マティーニベルモットを強めにね」
「それが二十歳になったばかりのやつが言う言葉かぁ?」
田原があきれて言う。私は近くのウェイターを捕まえて恭子の注文を伝えた。
「恭子、そんな強い酒ばかり飲んで大丈夫か?」
私は聞いた
「平気平気、ちゃんとお酒の飲み方は分かってきたから。」
冴島が口をはさむ
「この子、私をつき合わせてバーとかに出入りしてるんだよ。」
「それは推定無罪
恭子は饒舌に憲法のことを語ろうとするが、これでは推定有罪だろう、とその場のみんなが思った。