秋の夜にのせて・・


さあ、きみたち、
もう少しで君たちはこの地球に生まれてくるんだ、準備はいいかい?
ん?もうこの中は飽きたって?


そういうな、その中で温かくしていられるのも今のうちだけだよ。
大きくふくらんだその温かい寝室・・・寝てないね、君たち。
大騒ぎしてるね。
「早く出せー!!!」って。
「この部屋で二人じゃ狭いよー!!!」って。


まぁまぁそう、壁をどんどん叩いたってまだ君たちはこの地球に出てくるには早い。
もっとのんびりしなさいよ。そうやって二人一緒にいられるのも今のうちさ。
え、早く広いところで遊びたいって?


あせりなさんな、もう半月もすればいやでも出てくることになる。
それに君たち、まだ歩けないし、広くなんてなくたっていいじゃないか?どうだい?
こっちの国はそんなに暖かくないんだ、寒い日もあれば暑い日もある。
そんな世界に急いで出てくることはないぞ?
それに、こっちに来たら君たちは歳を取り始めるんだ。そっちにはいくら長くいたってずーっと歳は取らない、まぁそんなに長くいられる訳じゃないけどね。


ほらほら、叩くな、叩くな。
無理やり出ようとするな、あんまり叩くから亀裂が入るじゃないか。
まぁあせるなって。こっちに来たら大歓迎するからさ。


はぁ・・二人一緒かい。どうしてまた、二人になったのさ?
まぁいい。二人一緒の方が賑やかでいい。奇蹟なんだから。
まぁあれだ。もうちょっと待ってな。
そっちの暮らしを楽しんでな。それからこっちに来なさいよ。待ってるよ。
じゃ、またな。