涙を誘う季節。

秋。
何が起こっても、ほんのちょっとのことでも、涙の呼び水になってしまう。
虫の音に涙を流し、月の明かりに涙を流し、星のきらめきに涙を流し・・・・
どうして、この世界には感動があふれているのでしょう。


無数にきらめく星の一つ一つに何かの物語があったのではないか、今は見えなくても、かつて一番きれいに輝いた星々があったのではないか、その光を見上げて、心を打たれた祖先たちがいるのではないか、そんなことを想わせる季節です。


人の数だけ奇跡があり、感動があり、それ以上に燦めく星はたくさんあって、その光は遙か昔に発せられた光であって、その遙か昔にはやはり無数の奇跡と感動があって、その人たちもやはり燦めく星に心を打たれ・・・・


あのたくさんの星は燃えている。静かに、静かに燃えている。
今まで生きてきた人の中にも小さな、小さな炎があり、それぞれのみ挙げた星の燃えるのと一緒に輝いて今を迎えている。これから先、いつまで人類は己の刃に身を焦がさないでいられるかを私は知らないけれど、これからもずっと。


秋が訪れるたびに、それぞれの感動を抱き、私たちは生きて、死んでゆく。
夏の訪れと共に生まれた、私が死ぬのはきっと秋だろう。
星の光に照らされながら、末期の時を迎えるだろう。それは運命。