モルダウ その2 つづき

困ったことに、そのとき私はスメタナのCDを持っていなかった。当然お店は閉まっている時間。私は友人に電話をかけてお願いした。こんな時間である。当然のごとく、木で鼻をくくるような対応をする。5人目に電話をしたK君は、普段冷静な私を知っているからか、突拍子もない話を真剣に聞いてくれた。また幸運にも彼は「我が祖国」のCDを持っていた。

3時5分、私はRF400を飛ばして、横浜市に住む彼の家へむかう。こうしている間にも彼女の時間は無慈悲にも駆け足で進んでいるに違いない。やがて東名高速を横浜青葉で下り、わずか15分で彼の家に着いた。そして1枚のCDを受け取って再びバイクを飛ばす。しかし、正直なところ、病院へ戻るのは怖かった。「モルダウ」を聴いてくれるだろうか・・