審判

あの日、あの時、あの場所で、起こるべくして起こってしまったあのこと。君は悲しそうな顔をしていたね。
過去は振り返らない、と自分に言い聞かせても無意識に心に浮かぶ、首を傾げたその顔・・・その表情、潤んだ瞳・・それが私をあのときに引き戻してしまう・・・そうだよね、悲しいよね。そのときの私はプライドばかり高くて自己を省みることをしない、卑怯な人間だったからわからなかったよ、ごめんね。
結局小石川からそのまま、水道橋を通り越して御茶ノ水まで歩いたっけ。
あの時間は、君が私にくれた猶予期間だったんだろうな・・
最近になって、やっと気づいたよ、都合11年。なんて頭の悪い私だろう。

御茶ノ水の黒澤楽器の前で君は言った「どう?」
私は、「え、大丈夫でしょ?」と即座に答えた・・

愚考だ。今の私にはそれがわかる。あれだけの時間、1時間あまりをくれた君をがっかりさせてしまったね。
見ているとはとても思わないけれど、世界のどこかで今も暮らしている君にいいます。「ごめんなさい」

この自戒を、贖罪としていいのでしょうか・・それは、私が決めることではない。あのときの審判を、やっと受け取ることができただけなのだろう。

(気が向いたら?続く・・・)