白いコーヒーカップ その7

映画は大どんでん返しを迎えて、しばらく感慨にふけってエンドロールに見入っていた。「なぁ、すごかったな、あいつ」と恵
「おお、久しぶりにこんなの見たよ、ここまでのは初めてだよ」
「じゃ、そろそろ行こうか」と、こんどは私が恵の手を引いて出口に向かおうとした。
「おい、手、つなぐ必要ないだろ、恥ずかしいじゃん」と恵
「いいでしょ、さっきの台詞にリボンを付けて返すよ」
結局そのままエレベーターで1Fにおりてきた。
「どうする、学校、とっくに終わってるぜ」と私が言う。
「そうね、とりあえずマクドあたりで・・・」
「そうだな、そうしよう」
マクドナルドでカウンターに座り、ポテトをつまみながら映画の話に花が咲いた。
「な、あんな演技、絶対できないよな、しかも若者がさ」
「うんうん、できない。弁護士すらだましちまうんだからな」
そうこうしているうちに、時計を見ると6時。
「そろそろかえらねーと」と恵。
「そうだな、送って行ってやろうか?」
「おう、頼むぜ」
私はまた恵にヘルメットをかぶらせて、恵の家に向かう。上池袋のなんとか、だからすぐに到着した。
「またどっか、遊びに行こうぜ」と恵。
「おう、じゃ、後楽園行ってみないか?」
「え、・・うん。そうしよ」
ちょっと虚をつかれたような恵。きっと私が具体的な誘いをするなんて思っていなかったのだろう。
「じゃあな、また明日」
別れ際に言葉を交わして、私は赤羽を目指す。γの2サイクルエンジンは好調で、小気味よい加速を味あわせてくれる。風を切って走るのが気持ちいい。「恵と遊園地か、楽しみだな〜」と思いながらギアを落としてアクセル全開。9000回転のパワーバンドに入ってパイーンと加速する。それまで乗っていたJOGでは味わえない感覚だった。