秋の夕暮れに その6

日々が過ぎていった。恵の容態は相変わらずで、いつ心肺機能の低下が起こってもおかしくない状態であった。呼びかけには瞬きで答えた。私と恵は、そうやって日々あったことを「会話」していた。恵はかすかに笑みを浮かべることさえあった。その笑顔を見ていると、いつかこれが一気に壊れてしまうかもしれない、なんてとても信じられなかった。恵も、自分の容態はなんとなく察知しているようだった。しかし恵は、いつ訪れても満面の笑みを浮かべてくれる。私にはそれが心強かったし、だんだん「恵に限って・・」と思うようになってきた。こんなに元気で、意欲的な恵、神様がいるなら絶対に、絶対にそんなことはないと思った。そんな日々をすごしていた。私は学校に行って、途中から抜け出して面会時間の最後まで恵と「会話」を楽しんだ。それが、日常になっていた・・・