ある精神科医の手帳

ケース1

診断名:うつ病
一ヶ月間の休養、加療を要する。

Hさん、あなたは私に「会社の経営も問題ないし、日本経済は好転している」とはじめての診察のときに仰いましたね。しかしそのシステムの中であなたは病んでいる。好調なはずの日本の中であなたは病んでいる。どうしてですか?
日本経済はすこしも好転していません。その代わり、企業が無理をして経済の発展を支えている。あなたはその無理を受け止めたのです。社会を見回したらどうです、ニートや非常勤職員がたくさんいて、パートタイム勤務の方々が経済の下支えになってなんとか社会を動かしているのではありませんか?
かつて高度経済成長の時代、日本人は一丸となって目指す方向があったのですよ。でも、今はそういった目標を見失っている時代だと私は感じています。目標や目的、強い意志があれば、人は強くなれるものです。悪い例えですが、戦時中も日本人は極貧に耐え抜き、それでも不平一つ言わずに頑張れたのです。それは日本社会に強い牽引力があったからです。
確かにあなたの会社は成長しています。しかし、社会の中でのあなたの会社は何かミッションを負っていますか?今はいろいろな企業が自社の利益を追求しているだけで、社会として向かっている方向はあいまいなのです。それに、日本という国を会社に例えたら、破産状態ですよ。そんな切迫感が張り詰めた中でどんどん利益を出そう、と純粋に考えられる人は心を病んだりしません。あなたは日本の閉塞感を感じ、無力な企業の頑張り、ゆとりの排除をしっかり意識されているから、心を病んでしまったのです。閉塞感は私も常々感じているところであります。

処方:トリプタノール25mgを朝、夕食後、レンドルミン0.25mgを睡眠前に服用

●なんか徹夜の夢うつつで適当に書いた文・・・・