雑文書き散らし

ある精神科医の手帳

ケース1診断名:うつ病 一ヶ月間の休養、加療を要する。Hさん、あなたは私に「会社の経営も問題ないし、日本経済は好転している」とはじめての診察のときに仰いましたね。しかしそのシステムの中であなたは病んでいる。好調なはずの日本の中であなたは病ん…

夢九夜の失敗作(メイキングみたいなもの)

第十夜 こんな夢を見た。 近頃眠れなくて困っていたのだが、その日はすぐに寝ることができた。「あなたの前世は、とても悪いことをしました。あなたはその償いを一生かけてしなければならないのです」とどこからともなく聞こえてくる。「それはどうすれば良…

夢九夜

第九夜 夢見心地のまま、深夜0時に目を覚ました。 私は窓を開けて、星空を眺めながら深呼吸をした。深夜の空気は私たちの心を清めてくれる。星空の光が何万年もかけて私の目に届いてることを考えてはっとした。 夢見心地のまま、満月を見上げた。鋭い青白い…

夢九夜

第八夜こんな夢を見た。 とても華奢な女が左腕から血をたくさん流して花壇の隅に座っていた。 傍を行く人はその姿をみて驚いていたが、足を止めることなくみな去っていった。私はたまたま休日に街へでていて、その女を見てぎょっとした。 見たところ傷は浅く…

夢九夜

第七話こんな夢を見た。 秋も深まった木立の中を歩いていた。風が冷たいので、トレンチコートの襟をしっかりと閉めてポケットに手を突っ込んで下を向いて歩いていた。寒風に木々はざわめき、路上の落ち葉は舞い上がった。寒いのは苦手な私であったが、仕方が…

夢九夜

第六夜こんな夢を見た。 大層大切に育てていた百合を小僧がボールでなぎ倒してしまった。 私は非常に憤り、小僧の頭を竹刀でひっぱたいたのだが、そんなことをしても仕方がない。倒れた百合を見てこれは如何したものかとしばし逡巡した。 結局、百合をゆっく…

夢九夜

第五夜 こんな夢を見た。窓の外は満天の星空であった。眺めていると急速に星空は歪んで、星の色はさまざまに変化した。しばらくすると、また別の星空が見えてくる。「そろそろ食事にしないか」と、金色の髪をしたクルーが云うから「そうだな、ワインはあるか…

夢九夜

第四夜こんな夢を見た。 私は政治家だ。ある日、ある女が私の耳を掃除している。少し不器用なのか、わざとなのかは判らないが、しばしば耳の奥に耳かきを突っ込んで痛い思いをする。 「なあお前、そろそろ綺麗になったか」と訊くと首を振って「いえまだまだ…

夢九夜

第三夜こんな夢を見た。 誰よりも業突く張りな医者だ。しかし腕はいいつもりだ。 診察をするときに黒いガウンを着るから、人は私のことを「闇の医者」だと云った。 この間も煙草屋の婆が「胸が苦しくてどうにも眠れない」というから薬を注射してやったらすぐ…

夢九夜

第二夜 こんな風景を見た。豆腐屋が走っていた。岡持ちにはたくさんの豆腐が入っているようだ。私がその走る音を聞いて振り返った刹那に豆腐屋は大きな岩に躓いて転んでいた。あんなに大きな岩なのになぜ避けなかったのだろうと私は訝ったが、人なんてせいぜ…

夢九夜

第一夜 こんな夢を見た未明にとつぜん人が訪ねてきてドアをとんとんと叩くから、布団からおきだしてドアを開けてみると、きらきらしたワイングラスの破片を持った女が「これはあなたのグラスですか」と細々とした声できいてくるから「そうだ、しかしこれはこ…

泡に見とれて。

お酒にまつわる話として・・・二人で、シャンパンフルートの底から立ち上る泡を眺めていた。 彼女は、20の誕生日。お酒が解禁だから、といってお酒を飲みたがっていたっけ。そんな日に私がおすすめした、Moet et Chandon。お店で飲むと10000円位するから、…

赤ワインを飲みながら。

お酒は控えてるけど、ちょこっとだけということで赤ワインをブルゴーニュグラス(馬鹿でかい球形に近いグラスね)に注いで。 片手でグラスを包んで口に持っていくと、香りが楽しめる。でもなぁ、なんかあの日君が小さい手ででかいグラスを持ってるのがこっけ…

絵を食べる人たち

今朝、こんな夢を見た。 人々は料理をする代わりに、空間に筆で料理の絵を書く。 そうすると、それが食べられるようになるのだ。 上手で繊細な絵はとても美味しく、下手な絵は下手な味になる。学校では、おもに絵の勉強をする。 生活のためには絵の勉強は避…

雨が蕭蕭と降っている。 こんな夜は、君と、コートで雨を避けながら山下公園を歩いたことを思い出す。 大きな氷川丸を背にして、赤レンガのほうへ早足に歩いた。 君に出会ったその日、あんなにたくさん話が途切れなかったのに、そのときは一言、一言を口にす…

光の向こうへ

ぐんぐんとその光の粒子は下へ、下へとすごいスピードで突っ走る。下、というのは時間軸方向なので、どんどん過去へ。過去の一点、一点をスキップするようにさかのぼってゆく。その途中には凄惨な戦いの日もあった。人類が協同して暮らしている時期もあった…

素晴らしい空

その日は午後から雷を伴った雨がひどかったが、それが通り過ぎたら私の書斎に低く、暖かいオレンジ色の陽が差し込んだ。 そのすべてのものを肯定するような暖かい色に私は魅了された。手を伸ばしたらそのぬくもりを感じることができるような気がして、わたし…

素晴らしい空

その日は午後から雷を伴った雨がひどかったが、それが通り過ぎたら私の書斎に低く、暖かいオレンジ色の陽が差し込んだ。 そのすべてのものを肯定するような暖かい色に私は魅了された。手を伸ばしたらそのぬくもりを感じることができるような気がして、わたし…

ネタ切れ。

思いつくときはすらすらと言葉が文章になるものなのだが、最近はめっきり文章ができてない。小学生の日記みたいになってきた。たぶん、仕事に復帰して間もないころだから、頭の中が仕事で一杯なのかな?とか思ってる。今は定時帰りだけど、忙しくなってきた…

水辺にて。

水辺は、みなもから漂う香りが気持ちいいと、あなたは言いましたね。 よく、噴水のあるあの公園に行ったものでした。 「わぁ〜虹がかかってる!」そう言って噴水にできた小さな虹を見せてくれましたね。小さな虹、でも、大空にかかる虹と同じ色の虹。 光と、…

Close to you

Why do birds suddenly appear? Everytime yo are near. Just like me, they long to be, close to you.カーペンターズのファンなら間違いなく知っている、この曲。 とってもやさしい歌詞が大好き。Why do stars fall down from the sky? Everytime you walk…

時を食うもの。

「ずるずる」と「時」を食べる生き物がこの世のどこかにいるそうだ。そういえば、そうかも知れぬ。どこかで湧き出している「時」を吸収してくれるものがいなければ、時はこの世界からあふれ出てしまう。食べられていく時を、ヨーロッパでは「タイム・サラダ…

時を越えて

そのきらめく光の塊は、ものすごい速さで私の目の前を飛び去っていった。私が立つここは4次元の空間。時と空間が同じ意味を持つ世界。その光は、時間軸から30度ほど空間軸方向に傾いて飛翔していった。その光に魅せられた私は後を追いかけようと、時空航行ス…

春の息吹 その1

固い蕾を長々とたたえていた戸山公園のソメイヨシノも「せえの」、でその薄墨色を得意げにさらす。その日は薄曇りだったから、その淡い桃色は白いキャンバスに鮮やかに浮かび上がっていた。 そういえば、あのときの桜もこんな風に鮮やかに映ったかな。5年前…

秋の夕暮れに その8

今際に恵は「音楽が聴きたい」と、消え入るような声で囁いた。午前2時30分。声を出すのも、やっとのはずだ。主治医は恵の病状を詳しくは告げてはいなかったが、私はあなたの見かけより強い心を信じて、その状況をお話しました。あなたは自分の病状が、考え…

秋の夕暮れに その7

そのときは突然訪れた。電話が鳴った。その瞬間私は何かを感じて電話に走った。電話に出ると、やはり病院からだった。恵の父親が涙声でいった。「今すぐ来てください・・」私はすぐにヘルメットをとって、γを飛ばした。20分で病院に着くと312号室に向かっ…

秋の夕暮れに その6

日々が過ぎていった。恵の容態は相変わらずで、いつ心肺機能の低下が起こってもおかしくない状態であった。呼びかけには瞬きで答えた。私と恵は、そうやって日々あったことを「会話」していた。恵はかすかに笑みを浮かべることさえあった。その笑顔を見てい…

秋の夕暮れに その5

目が覚めると、窓の外は黎明だった。ビルの隙間から日の光がこぼれて、病室を明るく照らし出した。私は一人で椅子に座っていた。いつの間にか、誰かが毛布をかけてくれていたようだ。私は立ち上がって毛布をたたみ、椅子の上においた。そして、恵の寝息を確…

秋の夕暮れに その4

「めぐ、おれだよ、ねぇ、めぐ・・」私は点滴のルートが何本もついた恵の手を握り締めた。その手はついこの前につないでいたときと同じく暖かかった。 「あまり思わしい状態ではありません。決して楽観視しないでください。」ナースはそう言って、軽く頭を下…

秋の夕暮れに その3

「じゃあな。」私は恵に声をかけて家路についた。すでに午後11時を過ぎていた。今日中に帰り着けるか怪しいものだった。自宅へついてドアを開けると、母が私のほうを見て何かを言おうとしていた。言葉にならない声を出していた。 「あんた、恵ちゃんが・・…